お問い合わせ
山形県北・秋田県南の広域情報サイト「ここから〜」
TOHOKU JAPAN

鮭川村地域おこし協力隊 松並 三男氏


 このコーナーは、地域に潤いをもたらし醸成させるのは人であるという思いのもと秋田県南地域と山形県北地域に住む「醸し人」にクローズアップしたコーナーです。
第18回目となる今回の醸し人は鮭川村地域おこし協力隊の松並 三男氏です。

「鮭」がつないだ縁
鮭川村地域おこし協力隊として活躍する松並三男さんは神奈川県大磯町出身の36歳。
来村する前はアウトドアブランド「パタゴニア」の直営店で約10年間勤務していました。松並さんは海&釣り好きでゴミだらけの海をなんとかしたいと日本大学生物資源科学部の海洋生物資源科学科で海洋環境学を研究していたそうです。
そんな松並さんと鮭川村をつないだのは「鮭」。「魚のこと」を仕事として取り組みたいと思っていたところ、鮭川村の地域おこし協力隊のテーマとなっていた「鮭漁」というキーワードと出会い、2019年4月に鮭川村地域おこし協力隊に着任しました。もともと、妻の実家が米沢だったため、以前から山形への移住に興味があり、子供が生まれてからは、育児環境としての魅力も感じていたそうです。地域おこし隊としての使命は鮭漁の保存・利活用。秋から初冬にかけてのみの漁ではありますが、鮭川村では郷土料理として 鮭の新切り(ようのじんぎり)を昔から食していました。この鮭のことをもっと多くの人に知ってもらうため、日々活動しています。
鮭シーズン以外は、村のイベントの手伝いや移住相談、動画配信や観光産業情報の発信も行い、4月にはコロナ禍における飲食店のサポートを考え、「#最上エール飯」の立ち上げにも尽力しました。当時必要だったのは、クオリティではなく、スピード感で本業でないながら、地域を思い即行動に移しました。
任期1年半を過ぎた今、実は思っていたより先が見えていないんだそう。しかし、鮭漁をやりながら、日々生活する中で「気付き」もあり、新たにやりたいことが見つかっているんだとか。
「鮭」に関して、どんなことをしているのですか?
着任後2年目の今年は、「鮭を増やすことと食べること」。この2つの視点で活動しています。あと1年半でどこまで持っていけるか、日々思案中です。
増やすことについては、日本の鮭は、これまで人工ふ化事業を中心に考えられてきましたが、最近は、野生魚の強さが見直されはじめています。現在、日本水産研究機構の鮭の研究者と相談しながら「発眼卵放流」という新しい取り組みを企画しています。稚魚まで育てずに卵の段階で川に埋め戻していくこの方法は、より野生に近い形で鮭資源を増やせる可能性があります。
食べることについては、孵化事業後に発生する採卵、放精後の鮭をいかに美味しく食べるかを、伝統的な手法をベースにしながら、今だからできる技術なども取り入れ、いろいろ試作する予定です。
川と里山が面白く、外遊びが楽しい鮭川村
プライベートでは、春から秋はイワナ、ヤマメ、サクラマス、鮎など渓流や本流での釣り、鮎漁、鮭漁、山歩き、キャンプなど様々なアウトドアアクティビティーを楽しんでいます。冬は仕事帰りでも趣味のスノーボードを楽しめ、食べ物や水に恵まれているこの地域。今後は新型コロナウイルスの影響で、都会離れが進むと思っています。その都会の人を受け入れていけるのであれば、面白いエリアになるのではないかと感じています。子育てに関しても、のびのびと遊べる自然、ご近所の顔が見える人間関係からも、都会より安心感があります。土地はある、人は少ない、自然が多い。山形はいいところ、戻る気はありません。
「鮭」がつないだ縁に感謝し、まずは自身が楽しみながら、「鮭」を通じて山形を盛り上げていけたら嬉しいです。
鮭川村地域おこし協力隊 松並 三男氏

出身:神奈川県大磯町出身
年齢:36歳