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浅舞酒造株式会社 杜氏 (故)森谷 康市 氏


 このコーナーは、地域に潤いをもたらし醸成させるのは人であるという思いのもと秋田県南地域と山形県北地域に住む「醸し人」にクローズアップしたコーナーです。第5回目となる今回の醸し人は、天の戸(浅舞酒造株式会社)の故 森谷康市杜氏です。森谷杜氏は2019年7月30日に永眠されましたが、森谷杜氏の思いや考え方を少しでも多くの方へお伝えしたいと考え記事とさせていただきました。

酒は人を喜ばせるもの。しあわせにするもの。そして、人をつなぐもの
 農家の八代目として生まれ、山形大学農学部を卒業後実家の農業に従事。やがて中学時代の同級生で後の浅舞酒造の社長となる柿崎秀衛氏(故人)に誘われ、1981年から天の戸の蔵で働き始めた。1990年に杜氏となり、その後2011年からは「蔵から半径5キロ内の米で、全量純米酒仕込み」と宣言。
 「雪で閉ざされるこの地域では、漬物などの不自由だからこそ生まれる食文化がある。あえて半径5キロと決めた不自由さの中で工夫して造るからいいのだと思う」と。しかも、秋田県産米だけを使い続け、全国新酒鑑評会での連続金賞受賞や、IWCでの秋田酒こまち使用の純米大吟醸の最高賞トロフィー賞受賞など、その功績は関係者のみならず多くの日本酒ファンの知るところです。
 その一方で、水源を訪ね田んぼを巡り、稲の花見をしながらその酒米で造った酒を飲むという、浅舞のテロワールを体感できる企画を組んだりしました。 「日本酒は、『なごむ。にっこり。ぬくむ。ねそべる。のんびり。』の“なにぬねの”が、いい」などボキャブラリーもあり、歌を歌わせれば「酒屋唄」で場を和ませる。誰にでも気さくに話しかけてくれるそんな身近な杜氏でもあり、偉大な存在でもありました。
 「目に見えるもの、手で触れられもので酒を造りたい。わたしはそう思います」「この風景をビンに詰めたいと思います」「せばなんとす」などなど、森谷杜氏の言葉一つ一つに考えさせられます。ある種、制約の中から豊かさを追求できるプロフェッショナルだと思います。そして、これからもテロワール天の戸を想像し乾杯してみてください。

森谷杜氏のご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。

【商品紹介】
●純米吟醸 亀の尾 ひやおろし
ふくらみのある柔らかな口当たりと、後に続く「亀味」とキレが特徴の「ひやおろし」になりました。

●純米吟醸 天の戸 ひやおろし
「美山錦」と「AK-1」天の戸のテッパンの組み合わせの純米吟醸酒。ひと夏を蔵内で越し、程よい熟成味のまろやかな味になりました。

浅舞酒造株式会社

秋田県横手市平鹿町浅舞字浅舞388
TEL 0182-24-1030 (代)